textlintとは
textlint(テキストリント)は、設定した校正ルールに基づいたミスの指摘・修正を自動化するツールです。
本来はコマンドプロンプト等の『黒い画面』からインストールして使うのですが、作者の方(@azu_reさん)がより使いやすいデスクトップアプリ版をリリースしてくださっています。
こちらで十分な方にとっては圧倒的におすすめです。
アプリのダウンロード
https://github.com/textlint/textlint-app/releases/tag/v1.4.1
↑こちらのページからインストーラをダウンロード、実行します。
基本的にはメモ帳やテキストエディットのような「エディタアプリ」と同じだということがわかと思います。
しかしこのアプリを使うためには、以下の2点を用意する必要があります。
・ワーキングディレクトリ(作業用フォルダ)
・校正ルールプリセット
順番に説明します。
ワーキングディレクトリの設定
”ディレクトリ”というのは、つまりフォルダのことです。
筆者も最初わからなかったんですが、プログラミングの工程でコマンド操作をする際には、フォルダのことをディレクトリと呼ぶみたいです。
textlintを使う上では、どこのディレクトリで校正作業するのか?という設定が必要になります。
上の方にあるWorking directoryの部分に、作業するフォルダのパスを入力します。
何も設定をしないとデフォルトでtextlint-appのフォルダが使われますが、実際に使う際にはデスクトップ等の見やすい場所に置いておく方が何かとスムーズかと思います。お好みでフォルダをご用意ください。
↑今回はこのフォルダを使います。
作業用のフォルダを決めたら『.textlintrc』というファイルを用意します。
『.』から始まるこのファイルは”隠しファイル”といって、フォルダを開いても表示されません。
ファイルを作る時はエディタを使いましょう。
サクラエディタやAtomで空のファイルを作成し、名前をつけてフォルダへ保存します。
(Macの場合「command」 + 「shift」 + 「.」でこのように隠しファイルを表示できます)
ファイルを用意できたら、同じフォルダ内に『rule』というフォルダを作ります。
ここまでできたら、次はルールの設定をしていきます。
校正ルールの設定
現状では、textlintは何の校正ルールも持っていません。
実際に校正を行うには、ルールを自分で設定するか、誰かの作ったルールプリセットをインストールする必要があります。
今回やりたいのは『表記揺れを統一させること』(『是非』は『ぜひ』の表記に統一したいなど)なので、textlint-rule-prhというプリセットを使ってみます。
prhを使うためには、間違い表現と正しい表現をまとめたymlファイルが必要です。
エディタで『jisho』フォルダを開いて、『rule』フォルダ内にファイルを作成しましょう。
今回は『jisho.yml』というファイル名にしました。
(画像で使っているVSCodeでは、ymlファイルを開くと紫の!マークがつきます。特にエラーではないのでご心配なく)
ymlファイルにルールを記述する
https://github.com/textlint-rule/textlint-rule-prh
▲こちらのページに詳しい記述方法が書いてありますが、基本的にはこんな感じです。
version:1rules:-expected:正しい表現です。pattern:間違った表現です。-expected:正しい書き方。patterns:-こんなパターン-どんなパターン-あんなパターン
このように『patternに該当する表記があったらexpectedが正しいですよ』という指示を書きます。
「是非」→「ぜひ」のような統一の場合はこの書き方。
もし書き間違いなど、正解パターンに対して間違いパターンをいくつも指定したいときは、下にあるようにpatternsと書いたあと間違いパターンを書き連ねていきます。
.textlintrcの中身を書く
最初に作った隠しファイルは、使うルールを指定するための設定ファイルです。
その中にymlファイルのパスを引いて、「これを使います」と指示しましょう。
{
"rules": {
"prh": {
"rulePaths": ["rule/jisho.yml"]
}
}
}
(コピペでOKです)
アプリ側での設定
ここまで、作業用フォルダとその中身を用意しました。
jisho
└ rule - jisho.yml
└ .textlintrc
このようなファイル構成になっているかと思います。
このjishoフォルダを、textlintアプリで開いてみます。
Working directoryの入力欄に、jishoフォルダのパスを書きます。
Windowsだと、フォルダを開けば上の方にパスが表示されるので、それをコピーして貼り付ければOKです。
パスを書いてLoadを押すと、中に入っている.textlintrcの中身が下に出てきます。この状態で下の方にあるinstall、saveを押しましょう。
すると、アプリに内蔵されているnpmによってプリセットがインストールされ、アプリでprhが使えるようになります。
試しにエディタに戻って、間違い表現を入力してみましょう。
(最初に書いてあるガイド文は消して大丈夫です)
右のカラムに『正規表現はこっちですよ?』という指摘が出ました。
間違いの数だけこの指摘が表示されます。
Fix all errorsと書かれた白いところを押せば、一括で正しい方に修正されます。
何個あってもワンクリックです。とても便利!
ただ逆にいうと一括での修正しかできないので、「ここだけは例外的に直さない」という使い方はできません。
日本語的に変な箇所がないかどうか注意しましょう。
(アプリ版ではなくCLIで導入してVSCode上で使う場合なら、そういう融通も利かせられます。環境構築が難しいですがよろしければそちらも挑戦してみてください。)
その他のルール
prhは表記揺れを直すだけですが、他のルールを使えば
・一文で「、」は4つまで
・「かもしれない」などの弱い表現は禁止する
などの校正ルールを追加することもできます!
ルールの自作・カスタマイズができるのもtextlintの魅力ですが、そちらはプログラミング初学者にはけっこうハードルが高いようなので、筆者はまだチャレンジしていません。
おもしろそうなのでJavaScriptに慣れてきたらいずれ…
他にもいろんな方のルールがGitHub上で公開されているので、是非探してみてください。